目次
1.自転車に乗って何が楽しいのですか?
それは愚問というものです。あなたも覚えているはずです。補助輪なしで自転車に乗れたあの日のことを。思い出してください、一人で自転車の遠乗りへ出かけたことを。想像してみましょう、虫取りカゴを持ったちびっ子が目をキラキラさせてペダルをこいでいる風景を。ペダルを一こぎするだけで爽やかな風があなたの顔を優しく撫でてくれることでしょう。それはともかくとして、スポーツを始めるにあたってサイクリングは比較的ハードルの低い部類ではないでしょうか。自転車さえあれば誰にでも始められますし、一人だって始められます。特に技術も要りませんし専用の場所も必要ありません。思い立った時に始められる、これって素晴らしい。楽しみ方は人それぞれ。トレーニング、ツーリング、自宅のご近所散策、観光やグルメポタリング、レース、ファンライド、ヒルクライム、年齢や性別に関係なく楽しむ事ができるスポーツだと思います。また、自転車のパーツカスタマイズやメカいじりといった楽しみもありますしね。ファッションにだってこだわることもできますしレース観戦という手もあります。2.ママチャリとスポーツ自転車は何が違うのですか?
まずは値段が違います。なぜ ? その理由は自転車の重さと関係があります。ママチャリは重さ20kg。対してスポーツ自転車は10kgを楽に切るものもあります。この軽さはスピードに影響します。ママチャリはせいぜい頑張って漕いでも時速15~20kmですが、スポーツ自転車であれば軽さを生かして時速20~40kmで走ることができるということです。速く走ることは、活動範囲に影響します。ママチャリだと5kmの距離を走るのも大変ですが、スポーツ自転車で時速30kmのスピードで走ることができるようになれば一日100km以上の距離を走行することも可能になります。つまりスポーツとして成立するようになるということです。これくらいなると、目的地を遠くの観光地に設定することができます。しまなみ海道も尾道から愛媛の今治へと渡れるようになります。もっと鍛えることで200km以上を走行することも可能です。ただし一日中、自転車に乗っていないといけませんが。まずは50km、そこから80km、130kmと距離を伸ばしていきましょう。160kmを走ることが健脚者の一つの目安となります。これは100マイルを意味し、センチュリーライドと呼ばれます。これで、ほぼすべてのサイクルイベントに出場できるようになります。(ブルべを除き)つまりロードバイクは実用的な道具ではなく、スポーツとしての機材です。実用車と比較するのがそもそも間違いなのです。したがってスポーツ自転車は、実用性を目的としたママチャリ、軽快車、シティサイクルなどに相対する位置づけとなります。買い物カゴはありませんし、立てかけるスタンドさえありません。ライトもベルもありません。(結論)ママチャリ、シティサイクルは移動するための実用品、スポーツ車はスポーツ・趣味として楽しむもの、ということでファイナル・アンサーです。3.ランニングとの比較
ランニングは手軽に始められるため、スポーツ人口も多いですね。走行距離を伸ばしたり、タイム短縮、ハーフ・フルマラソンへの挑戦など楽しみもいろいろ。反面、運動強度もそこそこ高いので足裏や膝への負担と、自分の体力にも限界があります。サイクリングは運動強度が低いので膝にも優しく、また半日、1日中続けられるスポーツです。その一方で機材スポーツでもあるため初期投資(自転車本体やヘルメットなど)が必要になります。そのかわり、バイクを所有する喜びや、パーツを組み替えたりグレードアップしたりできるのでカスタマイズする楽しみもあります。イベントはどちらも盛んに開催されています。『ツール・ド・しものせき』はWEB受付開始後の5分程度で締め切られるほど人気のイベントです。そのほか、しまなみ海道縦断やハワイのホノルルセンチュリーライド出場もいいですね。どちらがいいのかは人それぞれですが、自分はサイクリングが楽しいです。行動半径が広いですし、活動時間も長く取れます。行動半径が広がると観光、グルメ、写真撮影など楽しみ方が広がっていきます。活動時間を長くできるのは身体への負担が少ないからです。そのため活動量を増やせるしダイエット効果も高いです。5時間ランニングしろ、と言われても無理ですが、1日サイクリングしろ、と言われても大丈夫です。お金がかかるのが唯一の欠点です。きっとそのうちいい機材が欲しくなるので。サイクルイベントは、こちらのスポーツエントリーで探すことができます。4.自転車の種類を教えてください。
スポーツ自転車の種類としては舗装された道を走る(オン)ロードバイク、未舗装の道も走ることのできるオフロードバイク、その両方をクロスオーバーするクロスバイク、山道の荒れ地を走るマウンテンバイクなどがあります。(1)クロスバイク
クロスバイクのプライスゾーンは5~8万円なので、高級なシティサイクル程度の予算で購入可能です。乗れば誰しもがシティサイクルとは違うレベルのスピードに驚くはずです。細身のフレームと幅の細いタイヤを履いているので見るからにもスポーツタイプであることがわかります。また、自転車の乗車姿勢も前傾しているのでかなりのスピード走行が可能です。そのかわり、自転車カゴはついてないしタイヤの泥除けカバーもありません。便利さはかなり失われますが、楽に速く走りたい人や通勤・通学に用いるには最良の自転車でしょう。ロードバイクよりも太めのタイヤを履いているので乗り心地も程々です。ストレートハンドルが特徴です。ただし、自転車に本気で取り組むには中途半端で物足りなさを感じてくるかもしれません。クロスバイクとロードバイクの違いは、フレームやパーツの違いはもちろんですが、一番は乗車時の前傾度合の違いとなります。ロードバイクはスポーツライドを目的としているため、体格に見合うようにサイズを多く取り揃え、また用途に応じて前傾角度を定めています。これを各バイクのジオメトリーとして公開しています。この前傾する度合いが、ロードバイクでは強く、クロスバイクでは弱く設定されています。前傾が強ければ空気抵抗を受けにくいので速く走れますが、その分、体幹や脚力を求められます。前傾が弱ければ体を起こして楽に運転できますが、速くは走れません。ロードバイクは脚だけでなく上半身も使ってペダルを踏み込みます。また、コンポーネントと呼ばれる変速機やギヤなどはパーツごとのアップグレード出来ない(いわゆる互換性がない)場合があります。そして、フレームは交換できないため、クロスバイクに限界を感じれば、まるごと買い替えとなります。クロスバイクは、「ロードバイクとオフロードバイクの良いとこどり」、などと言われることもあるようですが、そもそもロードの半額以下の値段設定からわかるとおり、ロード、オフロードの長所の一部しか持ち合わせていません。はっきり言ってしまえば、オンロードもオフロードもどちらのメリットも生かせず、結局はどっちつかず、という表現が正しいと思っています。予算が許せば始めからロードを買うことをオススメします。GIANT ESCAPE R3(2)ロードバイク
ロードバイクは舗装された道路を、いかに目的地まで早く到達できるか、いかに遠距離を走行できるか、をテーマに進化してきました。そのため、軽量であること、ロスなくエネルギーをバイクに伝えられること、などを優先していますので、快適性はあまり期待しないほうが良いです。とくにサドルの硬さからくるお尻の痛みは誰もが体験する、一種の通過儀礼みたいなものですのであきらめてください。でも、そのうちみんな慣れます。15万円程度のエントリーレベルから、ツール・ド・フランスでプロ選手が使用している機材まで、グレードはそれこそピンからキリ。100万円オーバーも珍しくはありません。サイクル・ロードレースは市販されている自転車で用いなければならない、というルールのため世界の一流選手と同じバイクを手にすることが可能です。エンジン付きのオートバイより明らかに部品数が少ないのになぜ? それはきっとメーカーの開発費が上乗せされているのでしょう。スポーツを目的とする自転車ならロードバイクしか選択肢はありません。ドロップハンドルが特徴です。DE ROSA(3)小径車
タイヤの直径が小さい自転車のことです。ミニベロとも呼ばれます。オシャレな方の街乗りにはもってこいですね。径が小さいのと前後輪との距離(ホイールベース)が短い分、取り扱いは難しいですが、そこそこのスピードを出すことも可能です。ストレートハンドルのタイプが多いですが、ドロップハンドルのものもあります。ちなみにホイールベースは長いほど直進走行性が良くなります。アメリカンバイクで見かけるフロントフォークが突き出て前輪がドーンと前に出ているタイプがありますが、何もしなくても勝手に直進していくのだそうです。広大でまっすぐな道のアメリカ大陸を長距離運転するにはとても都合がいいのでしょうね。狭い日本だとどうなのでしょう? という訳でホイールベースの短くハンドルステムの極端に短い小径車は小回りが利くけれど直進性がなく挙動が過敏になるということです。その他にも知っておかないといけないデメリットは以下のとおりです。a.振動からくる身体への衝撃が大きいb.タイヤなどの部品が早く消耗するc.パーツ、コンポーネントが高い、または専用品走行することで発生する地面からの衝撃は、タイヤの空気圧やホイールである程度吸収され身体に伝わります。ところが小径車はその名のとおり車輪の直径が20インチ以下と小さいので、大きい車輪よりもホイール周長が小さく、またスポークも短くなります。よって、衝撃を吸収しにくい構造となっています。そして、車輪が小さいということは同じ距離を走行する際に、大きい車輪よりもたくさん回らなければいけないことになります。よって、タイヤやホイール、ホイールハブは消耗が早くなります。また、パーツ類もロードバイクなどと比べると流通量が少なく、高価であったり専用品であったりするのでコスト面にも注意しましょう。高額なものはスポーツ走行も可能とうたっているものもありますが、走行性能はロードやクロスに比べ望むべくもありません。見た目による可愛さ以外のメリットは期待しないようしましょう。結局はロードと比較しても、そんなに小さくありませんし、重さも軽くはありません。ロードよりも高いミニベロも存在しますが、それはミニベロとしての性能を突き詰めただけで、だったら最初からロードにしたら? と思うのは自分だけでしょうか。趣味で購入する分にはお好きにどうぞ。それはそれで理解も出来ると言うものです。BIANCHI(4)折りたたみ自転車
小径車には折りたたみ機構を持っているものもあります。ホールディングバイクとも呼ばれます。車や電車で遠くに出かけたときに、現地でサイクリングしたい!そんなあなたの希望をかなえてくれます。この種類で有名なブロンプトンなら、わずか10秒で60cm×60cm×30cmのサイズに折りたたむことが可能です。あなたの事務机の足元においても誰も自転車とは気づかないほどのコンパクトさです。ただし、折りたたみ機構のない小径車と比較すると強度を確保するために重くなることと、値段が高くなることを覚悟しなければなりません。また、安い折りたたみ自転車は重すぎたり、小さくならなかったり、手間がかかったりして結局は利用しなくなってしまいます。その意味では、この分野は『高くてもブロンプトンなのか、我慢してそれ以外を選ぶのか』という究極の選択となるのではないでしょうか。20万円也走行性能やデメリットは、結局は小径車なので、前述の説明と同様です。折り畳み機能の分だけ余分な強度を確保しなければならないためさらに重くなります。実はロードバイクだって、前後輪を外せば折り畳み自転車とさほど大きさは変わらないことを知っておくのは悪くないことです。BROMPTON(5)その他
自分はマウンテンバイク、オフロードバイク、ダウンヒルバイク、シクロクロスに乗ったことは無く、また詳しくもありません。したがってこのタイプの説明は割愛させていただきます。このほかにも、ブレーキ装置のないピストバイク、仰向けに寝転がるようにして走る、リカンベントという特殊な車種もあります。ちなみに、バイクと言えばオートバイを意味するのは日本だけです。世界標準として自転車の呼称はバイシクルの愛称であるバイクです。オートバイは、モーターサイクルと言い愛称はモトです。モトクロス、モトGPなどと呼称します。5.自転車の選び方を教えてください。
(1)まず最初に
車を購入することをイメージしてください。トヨタ車が欲しいのならトヨタのディーラーや取扱店へ足を運ぶと思います。自転車も同様、ショップによって取り扱いの車種が決まっています。つまり、代理店契約ですしたがって、次のいずれかの方法になります。a.ショップを決めて、そこで取り扱っている自転車から選ぶ
自宅近くのショップであれば、メンテナンスなどで今後お世話になるのに便利です。また、かかりつけの医者のように、腕の良いお店、ひいきのお店があればショップ優先で選ぶのは賢い選択です。通常は工賃無料で引き受けてくれるケースが多いです。ただし、消耗品代は別。b.購入したい自転車を取り扱っているショップを探す
もし、カタログやwebサイトで好きなロードバイクが決まっている場合は、各メーカーの公式ページにアクセスし、販売店を探します。自宅の近くにあればよいですが、そうでない場合も。他店で購入した自転車を最寄りのショップに持ち込んでも有料、あるいはお断りされるケースもあるので注意が必要です。c.通販
自動車を通販で購入しようとする方はまれだと思います。同様に自転車を通販で購入することも賢い選択とは言えません。通販では仮組の状態で送られてくるため、乗るためには工具を使って自分で組み上げなくてはならないからです。ギアの調整やブレーキのワイヤーケーブル、ハンドル調整などは自分でできますか? もしも自分で組めない場合は最寄りのショップに持ち込むことはできません。ショップではメンテナンスならともかく、よそで購入した自転車は走行上の安全を自店で担保できないことを理由にお断りするケースがほとんどです。結局、買い直しになるなら、おとなしく最初からショップで購入するか、工具を揃えて整備の技術が身についてからにしましょう。(2)あなたにピッタリの自転車のタイプは
クロスバイクにしようか、ロードバイクにしようか、小径車も良いかも、あるいは、正直言って何がなんだかよく分からない、と言う方にアドバイス。用途がスポーツ100%なら、迷うことなくロードバイクです。一択。次の基準は予算です。といっても、いくら用意したら良いのか分からない場合。ずばり20万円を用意できますか? この資金を用意できるのならロードで間違いないです。車両本体15万円にヘルメット、ジャージにパンツ、空気入れ、これらを入れると20万円は必要です。逆に言えばロードが買いたいなら20万円を用意してください。チャリと思うから高いのです。あなたの将来の健康と人生の愉しみを買うと思うのです。ジムだって入会金やら年会費やらで結構な金額がかかります。大人の趣味に手を出そうとしたら何をやったところで10万いくばくかは掛かるものなのであります。ロードバイクはチャリではありません。スポーツ機材なのです。さて、予算も無い。通勤にも使いたいとなればクロスバイクを考えても良いかも知れません。なぜなら、通勤には駐輪場での保管を考えなくてはいけません。高価なロードバイクが盗難に遭ってはいけませんし、風雨にさらすことも許されません。ただし、クロスバイクで自転車が趣味になったのであれば、次は必ずロードが欲しくなります。だって、ロードの方が速いんだもの。そうなれば、クロスを買ったお金が無駄になります。自分はそう思って、最初からロードを買いましたし、2台目を買う時にも最初からもっと高くて良いものにしておけば良かったとさえ思いました。確認ですが、本当に自転車で通勤するつもりですか? 車があるというのに。通勤先より近いコンビニにだって車で行くでしょ? 通勤にも、街乗りにも、遠出にもいろいろ使える、というのはあなたの方便です。ずばり、ロードで遠出をするようになったら、それ以外の自転車には乗りません。とは言い切れませんが、少なくとも自分はそうです。小径車は、遅い、痛い、高いの三重苦です。スポーツではなく、ゆるゆるサイクリング、いわゆるポタリング程度なら良いかも知れません。そこそこの値段を出せばママチャリより良く走るのは間違いないです。ただし5万円くらいは準備しましょう。だったらクロスが買えますけど。折りたたみなら、さらに1〜2万追加です。自分が本当にいいと思っている方法は、信頼できる知人からできるだけ安く中古を買うことです。なぜなら、15万円だしてロードを買っても、それがベストバイかどうかは分からないということです。自分が自転車とどう向き合うのか、どれくらいの時間を割けるのか、自分はどういう方向性のバイクが欲しいのか、なんて、初心者には分かる訳がないのです。だったら、最初は捨てるつもりで安いのに乗って、それから自分に合うバイクを探すのが良いと思います。エアロが欲しい、エンデューロが欲しい、軽いクライミングバイクが欲しい、シクロが欲しい、あのメーカーのバイクが欲しい、など、実際にしばらくの期間を乗っていれば自分が本当に欲しいタイプが見つかると思います。初心者には自分の持っている選択肢が少ないので、メーカーも車種もタイプも、店員の勧めるまま、あるいは知らないままに選ばされているケースが多いのではないでしょうか。だったら、安いクロスに取り敢えず乗って、しばらくは自転車雑誌を見ながら情報を集めたり、そこそこの距離を走りながら憧れのロードを夢見るのも悪くないかも知れません。都会なら、中古自転車も市場に出ているらしいのですが、田舎ではロードの中古自転車は扱っていません。ましてやヤフオクなどの中古に手を出すのは危険すぎます。誰がどのように乗っていて、落車していたり整備が済んでいるかどうかも分からない乗り物に、自分の命を預ける訳にはいきません。6.ロードバイクの選び方を教えてください。
さて、ロードバイクを買うと決まれば話は別です。値段は『フレーム(本体)』、『タイヤとホイール(車輪)』、『コンポーネント(ギアやブレーキなどの各パーツ)』の合計額です。それぞれが高ければ軽くて精確で性能が良く、安ければ重いので遅い、それだけの話ですから問題は予算ということになります。入門用はアルミフレームの完成車で10~16万円くらい。でも通常は後から「もっといいのを買っておけば良かった」となるので20~25万円程度のカーボン完成車という手もあります。ただし、20万円の高いものを買ってもどうせ後からもっと高価なバイクが欲しくなるのは目に見えているので、悩ましいところではあります。だから本当は安い中古が良いのですけどね。コストパフォーマンスにすぐれているのは、ずばり『GIANT(ジャイアント:台湾メーカー)』です。その代り、所有者も多いのが玉にきず。(1)完成車とフレームセット
完成車とはすでに自転車として組みあがっている状態で販売されているものです。ただし、ペダルはついてない場合が多いのですが、サービスでフラットペダルを(ごく普通のペダルのこと。これ以外に足とペダルを固定するビンディング・ペダルもある)つけてくれるショップがほとんどです。完成車に対してフレームのみ(ホイール、パーツなし)で販売されている形態がフレームセットで、いわゆるバラ売りです。ホイールやパーツは自分の好みに応じて組み合わせて購入したり、以前使用したものを換装したりして利用します。セットとはフレーム本体とフロントフォークのセットという意味ですから間違えないようにしましょう。したがって初めての場合は通常、完成車を購入することになります。(2)フレームの素材の違い
自転車のフレームの素材として主なものは、クロム・モリブデン(クロモリ・鉄)、アルミ、カーボンとなり、順に軽くなります。クロモリは細身でクラシックな見た目をしており、頑丈なため取扱いが安心ですが、車重が10kg程度と重いのが難点です。最近はメーカーもカーボンなどの他の素材に力を入れており、取扱メーカーは少なくなっています。鉄という特性上、しなるために振動を吸収して疲れにくいといわれています。廉価なものから、自分の体格に合ったオーダーメイドまであり、値段設定の幅が広く、入門用からハイスペックのものまであります。アルミは軽いのが特徴です。エントリーレベルのバイクは多くはこのタイプとなります。欠点はクロモリのようにしならずに硬い金属であるため振動が体に伝わりやすく、その分疲労が溜まるといわれます。用途や予算が不明な場合はこのアルミ素材を選ぶのが無難です。カーボンは最近の主流です。以前はかなり高価であったためハイグレード専用でしたが、最近ではエントリーレベルのものも多くなりました。それでも20万円は覚悟する必要があります。本気で自転車に取り組む予定であれば最初からカーボンを選ぶという手もあります。一番の特徴はその車体の軽さで、全体の車重が8kgを切るものも多いです。ただし、カーボンという素材の特性上、最高級のものを購入したとしても万人がその恩恵を受けるわけではありません。高額なものは剛性が高いためペダルを踏んでもその反発が強く、脚力のない初心者にとっては単に疲れるバイクになってしまいます。エンデュランス系のものなら柔らかくて振動も吸収してくれるためお勧めです。高額なレース向きのものは初心者には扱いにくいため避けるべきです。また、カーボンは取り扱いにも注意が必要です。折れてしまうと金属フレームのように修理ができず、廃棄となってしまうケースもあるので丁寧に扱わなければなりません。(3)購入方法とショップ選び
予算と用途が決まったら最寄りの自転車ショップへ行ってみましょう。ネット通販はお勧めしません。なぜなら、ショップとは購入した後もメンテナンスの依頼などで長いお付き合いをしないといけないからです。また、ネットで購入したら仮組みの状態で自宅に送られてくる可能性があるので自分で最終的に組み上げる必要があります。事故につながると大変危険ですので、自分である程度バイクのメンテナンスができるようになるまではやめたほうが無難です。最寄りの自転車ショップに泣き付いて持ち込んでも他店で購入したバイクは取り合ってくれません。前にも説明していますが、バイク選びの方法は二つです。①お店を選び、そのお店が取り扱っている車種から選ぶ。もしくは、②希望の車種・メーカーを選び、そのバイクを扱っているお店を探す、のいずれかです。ショップは各メーカーと代理店契約をしているため取り扱うメーカーや車種が限定されています。近所のショップが希望のバイクを取り扱っていれば問題ないのですが、そうでない場合は別のショップで購入することになります。(4)車種の選択とメーカー
ロードバイクは欧州が本場ですのでイタリアやフランス、ベルギー、ドイツなどメーカーは数多くあります。また、オフロードが本場のアメリカもロードバイクメーカーがあります。日本には大手のブリヂストン(ブランド名はアンカー)やカーボンに強いヨネックスなどがあります。いずれのメーカーを選んでも技術はすでに成熟しており極端な個性もあまりないので、見た目重視のデザインと予算で選んで問題はないです。個人的な感想としては、・ヨーロピアンタイプはカラーリングに凝っていて、乗り味はフィーリング重視・アメリカンタイプはソリッドカラーにロゴがドーン。科学的なデザインアプローチと試乗した体験から勝手に思い込んでいます。クロモリやアルミの場合、タイプに違いはあまりないですが、カーボン車では大まかに、エアロタイプとヒルクライム(軽量重視)、エンデュランス系、タイムトライアル用に分かれます。ツール・ド・フランスなどを見て気に入ったバイクをイメージしてみるのはいかがでしょうか。(5)コンポーネント
ブレーキや変速機(ディレイラ―)、クランクセット(ペダル周りの一式)などのパーツのことで、一般には略してコンポと呼ばれます。これらの機器はパーツごとに変えることができますが、メーカー側はトータルで組むことを推奨しています。トータルで組むとは、メーカーを揃えるだけではなくグレードも揃えるという意味です。メーカーには釣り具でも有名な国産のシマノがあり、コンポのシェアでは世界の8割以上を占めているとも言われます。このほか、イタリアのカンパニョーロ、アメリカのスラムと続きます。シマノとスラムはいくつかの点で互換性がありますが、カンパニョーロとはありません。カメラの一眼レフシステムのキヤノン、ニコンみたいなものです。シマノからカンパへ(またはその逆も)変更するにはホイールも含めてコンポのすべてを交換することになりますので注意してください。また、各メーカーはコンポにもグレードを設けており、高級なレース志向のものから廉価なエントリー向けまで用意しています。違いはパーツの精度や耐久性、軽さなどです。コンポは目的と予算に応じて選ぶことが可能です。原則は同一グレード(グループセットといいます)を使用しますが、互換性があれば一部のパーツのみグレードアップしたりしてミックスすることもできます。また、完成車の場合は定価を抑えるために一部のパーツを廉価版の別メーカーで組んである場合もあります。ただし、サイズ規格が違ったり、10速と11速ギアでは互換性がないなどの決まりがあります。シマノのグレードは、エントリーレベルから、クラリス、ソラ、ティアグラ、105、アルテグラ、デュラエースとなります。書籍では入門者にも105グレードを勧めている場合が多いです。それは性能差もありますが、グレードアップができるからです。カンパでは、ヴェローチェ、ケンタウル、ポテンツァ、アテナ、コーラス、レコード、スーパーレコードとなります。自分のコンポはカンパのヴェローチェですが、すでに廃盤。次はシマノのDi2(電動)にすると思います(決意)。カンパのクランクセットは見た目の格好はいいのですが。高いしグレードアップしても軽くなるだけで性能は変わらないとか…一般的な話ですが、シマノはパーツが精密・正確で高機能、かつ安いといいことずくめですが、デザインが(略)。カンパニョーロは工芸的なデザインで、操作性・フィーリング重視、と言われますが値段が倍ほど高い。スラムは・・・ごく少数派です。パソコンでいう、Macとウィンドウズみたいな関係でしょうか。ちなみにコンポを替えてもそんなに早く走れるようにはなりません。むしろ、操作時におけるストレス軽減のため、という感じでしょうか。ただ、高級バイクにはそれに相応しいコンポを、というのが一般的です。正直、ホイールにお金をかけたほうが良さそうではありますが。(6)ホイール
ピンからキリまであるのがこのホイールで、費用対効果も高い部分です。バイクの総額に対する値段の割合を個人的な感覚でいえば、フレームが総額の50%、ホイールが30%、コンポが20%くらいでしょうか。ところが、完成車を購入する場合、普通はフレームとコンポの充実に目が行くのでホイールはしわ寄せを食ってしまいます。総額15万円の完成車でみると、フレームが9万円、コンポが5万円くらいするとすれば、ホイールに回される予算は1万円くらいになっていると思われます。したがって、完成車のホイールはそれなりのものがついている場合がほとんどで、重くて回らないので俗に『鉄下駄』と揶揄されています。グレードアップ前提ということですね。最初のグレードアップは3〜5万円のものを目指したらどうでしょう。あ、その前にタイヤを変えても随分違うのでお試しあれ。こちらは数千円で体感できます。